二階堂黎人著 「魔術王事件」

時は昭和40年代半ば、函館を舞台にした連続殺人事件がこの本には描かれています。地元の名家、宝生家にかかわる人間が何者かに次々と殺されます。ある者は突然出現した部屋で胸を一突きにされ、またある者はのこぎりで真っ二つにされ、ある者は自分だけに盛られた毒入りのコーヒーを飲んで。ここに現れたいくつもの謎を名探偵二階堂蘭子が解き明かしていくのです。
チャールズ・ディケンズの絶筆「エドウィン・ドルードの謎」の解決を織り込んだ推理にはまさに感動を覚えます。特に残酷な表現が目立つこの作品を読み終えた後でもすっきりできるのは、これのおかげでしょうか。