東野圭吾著 「容疑者Xの献身」

今月映画化されたばかりの第134回直木賞受賞作を紹介します。これは探偵ガリレオシリーズの一編で、シリーズ共通の主人公ガリレオこと物理学者の湯川学が殺人事件の謎を解き明かしていくというものです。
今回のライバルは、湯川の大学時代の同期生である天才数学者の石神哲哉です。石神の企てた完全犯罪を湯川がいかに暴くかが本作の見所ですが、作中で石神が述べた「P≠NP予想」を意識しながら読み進めると、より面白くなるかもしれません。彼はあえて「P=NP予想」ではなく「P≠NP予想」と述べているのです。
他にも数学において述べるならば、学生時代の回想で四色定理に挑んだり、あるリーマン予想の反証からミスを言い当てたりなど、石神の分野を超えた多才ぶりを示す描写が多くあります。これを見れば、彼だからこそ完全犯罪も可能なのであろうと納得してしまいます。
この物語は数学や物理学とはかけ離れたところでその結末を迎えます。石神の完全犯罪から何が抜け落ちていたのかは本作を読んでお確かめください。
以前後輩に修士課程入試の面接で役立つと教えた五色定理の証明を、もう一度考えたくなる作品でした。


日記へのお返事
今日は運動の秋と食欲の秋ですか(笑)。健康的な生活でなによりです♪


今日のW05K
測定日時 : 2008/10/13 00:10:57
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